2021年12月24日金曜日

重ね焼き かさねやき


量産を目的として碗や皿類を窯中に積み重ねて焼く窯積法。

この時、器体のくっつきを防ぐため、耐火性の物質を間に置いたり、見込の釉を掛け外すなどの方法がなされる。

高麗茶碗の見込や高台畳付に多く見られる目跡は、この焼成法によるものである。

2021年12月17日金曜日

破墨 はぼく


水墨画法の一つ。

中国唐代の画論に登場する王維(*1)の”破墨山水”という言葉が最初。

技法の実際については定説がない。

素地を残して物象を表現する画法とする説があるが、淡墨で要所をきめ、のちに濃墨を加えて仕上げる山水樹石表現の技法と解されている。


*1 おうい=中国唐代の詩人・画家

2021年12月10日金曜日

婆娑羅 ばさら


財力に任せて、華美な服装などで飾りたて奢侈(*1)を極めること。

南北朝時代の佐々木道誉などはその代表的な人物。

南北朝期の茶寄合に見られる唐物とよばれる舶来の名物道具を中心にして、規式や御飾りを重んずる傾向も、その風潮を顕現したものといえる。


*1 しゃし


2021年12月3日金曜日

後窯 のちがま


瀬戸茶入六種(古瀬戸・春慶・真中古・金華山・破風窯・後窯)の内の一つ。

桃山時代から江戸時代前期にかけて焼かれ、織部・新兵衛・宗伯など作者名のわかっているものをいう。

いずれも作者の作風がはっきりと表れた個性的な茶入が多い。

2021年11月26日金曜日

長片天井 のねてんじょう


薄くへいだ長板を「野根板」という。

茶室や数寄屋造の建築に使われる。

長片・平天井は、長片板を白竹か大和竹の棹縁(*1)で打ち上げ、あるいは網代に張ったりする。

野根は元来は高知県野根山産の薄板のことで、主としては屋根葺材として用いられた。


*1 さおぶち

2021年11月19日金曜日

御道具奉行 おんどうぐぶぎょう


室町末期の臨時の役職。

将軍の御成りをはじめとする盛大な行事を行う場合、座敷を飾る茶器・屏風その他有用な道具を借り集めることをつかさどった奉行。

永禄4年(*1)の『三好亭御成記』には「諸道具奉行」「御道具借奉行」とある。

*1 1561年

2021年11月12日金曜日

嘉長 かちょう


伊予松山生まれの彫金工。

秀吉に招かれて京都に住み、建築金具の調進を命ぜられたとも、また小堀遠州に重用されたともいわれる。

桂離宮書院の釘隠・引手などは嘉長の作と伝えられる。

また七宝流しの技法にも優れていたといわれるが、伝記は詳らかでない。

2021年11月5日金曜日

羅漢図 らかんず


羅漢は正しくは阿羅漢という。

智慧の力をもって煩悩を退け正覚に到達し、世間から供養を受けるに足る聖者たちを描いたもの。

十六・十八・五百羅漢がある。

求道者が個々の性格・能力・環境に応じた独自の修行を実践する場合の指標として信仰された。

2021年10月29日金曜日

生駒石 いこまいし


石材の一種。

奈良県生駒山付近より産出するのでこの名がある。

黒雲母花崗岩であるが非常に硬質である。

大阪、京都南部の付近の人々に使用され、石垣用材として好んで用いられる。

時に沓脱石(*1)などに使用される。

筑波石が似ている。


*1 くつぬぎいし

2021年10月22日金曜日

四つ椀 よつわん

懐石道具。

飯椀・汁椀・煮物椀・吸物椀の四器の総称。

木製で挽物の素地に漆塗りが主軸。

ほかに蒔絵・色漆・螺鈿が施されたものもあるが、飯椀と汁椀は必ず一対であること。

また、飯椀・汁椀・煮物椀を三つ椀、飯椀・汁椀を両椀ともいう。

2021年10月15日金曜日

摑羽箒 つかみはぼうき


羽箒の一種。

摑み羽根ともいう。

古くは「つかみ結」ともいった。

鶴のつぼ羽といって左右のない羽を15枚1束として、手もとを竹の皮で包み撚糸を巻く。

長さは約1尺。

水屋用で箱炭斗に仕組んでおき、風炉・炉縁その他を簡略に清掃するのに使う。

2021年10月8日金曜日

真黒石 まぐろいし


庭園補助材料。

黒色の石をいう。

加茂真黒と紀州那智真黒が最も有名である。

主として栗石状のものを軒内、畳石その他の敷石として使用する。

小粒のものを蹲踞の海に敷いて用いる。ほとんどが加茂川産の真黒を用い、那智は光沢が強いので使用を避ける。

2021年10月1日金曜日

篠山焼 ささやまやき

丹波国篠山(*1)の磁器。

文政初年、篠山城主青山侯の御用窯として城外王地山麓に開窯されたのにはじまる。

王地山焼ともいう。

欽古堂亀祐(*2)も招かれ、青磁・染付・赤絵・瑠璃などが焼かれたが、のち民窯となり、明治時代になって廃窯された。

*1 現在の兵庫県丹波篠山市
*2 きんこどうきすけ=(1818-1844・京都の陶工)

2021年9月24日金曜日

琴高仙人 きんこうせんにん

中国宋代の康帝の舎人(*1)で、涓彭(*2)という仙術を使って二百余年浮遊したという。

漢画系画題に登場する鯉に乗って空中を飛行する姿は、龍を捕まえるに際し多くの弟子や見物人の前に現れたときの様子である。

雪村や光琳による水墨画がある。

*1 とねり=皇族や身分が高い人に仕える人のこと
*2 けんほう

2021年9月17日金曜日

落とし芥子 おとしがらし

溶き芥子は、日本料理の香辛料中、重要なものの一つであるが、茶懐石ではこれを出来上がった料理に目に見えるように落として客に供する。

客は、自分の好みに合わせて不必要な分を懐紙に取り去ってから頂いてよい約束である。

隠し山葵(*1)と対照的な技法である。

*1 わさび

2021年9月10日金曜日

挽物 ひきもの

木材を轆轤(*1)で挽いて作ったもの。

棗や中次のような茶器類、あるいは椀・杯・盆・飯次・湯次のような食器類などがある。

材料は欅(*2)・桜・檜(*3)などが用いられる。

仕上げるまでに何回も荒挽きをし、よく乾燥させないと狂いが生じやすい。

*1 ろくろ
*2 けやき
*3 ひのき

2021年9月3日金曜日

卓袱料理 しっぽくりょうり

卓袱とは、中国で食卓の覆い、転じて食卓をいう。

卓袱料理は、いわば中国料理を日本化したもので、主に魚肉を用い、各種の器に盛って食卓に並べ、各人が取り分けて食べる。

長崎料理ともいい、精進の場合は普茶料理(*1)といわれる。

*1 ふちゃりょうり

2021年8月27日金曜日

山挽き  やまびき


挽物(*1)木地を作る時に原材を鉈(*2)などで木取りをしそれを荒挽きする。

その無作為の挽き目に雅趣がありそのまま漆を塗って仕上げることをいう。

しかし水分の多い生材のため狂いが激しいので、更によく乾燥して挽き上げ改めて山挽き風に挽き目を入れることもある。


*1 ひきもの
*2 なた

2021年8月20日金曜日

団扇画 うちわのえ

 
団扇は中国に始源し、儀礼用として奈良朝の日本においても使用されているが、斗形(四角い料紙)とともに宮廷画院絵画の定形の一つとなり、日本に移入される。

団扇画が一般に普及したのは江戸時代の元禄年間ごろである。

2021年8月13日金曜日

羅 ら

織物の一種。

「うすもの」・「うすばた」ともいわれる。

中国古代に始まり、我が国には奈良時代に渡来し、法隆寺・正倉院などの上代裂に多い。

中世になると技術的に衰退したが、中国では宋・元・明代と続き盛んに作られた。

2021年8月6日金曜日

柄杓立 ひしゃくたて


柄杓と火箸を挿し立てておく器。

元来は皆具の一つであったが、皆具から離れた好み物・型物などがある。

台子と長板の総飾りのときに使用する。

素材には金属・陶磁器などがあり、地紋のあるものも多い。

鶴首・下蕪・四方・耳付などの形がある。

2021年7月30日金曜日

回り縁 まわりぶち


天井と壁とが接するところに取り付ける見切り縁。

したがって本来は二つの材を納めるためのものであるが、室内への意匠的要素も強く、書院座敷などでは二段に回して重ね縁とすることもある。

また茶席では丸太や竹を用いることが多い。

2021年7月23日金曜日

掛錫 かしゃく

禅宗用語。

修行僧が行脚をやめ、僧堂(道場)に入門、長くとどまって修行生活をすること。

臨済宗では掛塔(*1)という。

錫は錫杖(*2)で一種の杖。

昔、禅僧が行脚する時には必ずこれを携行し、寺院に滞留する際には壁に掛けておいた。

ここから生じた語。


*1かた、かとう
*2 しゃくじょう

2021年7月16日金曜日

金泥 きんでい


金の粉末を膠(*1)と水で溶き混ぜ、顔料としたもの。

書画を描く際に、線として用いる場合と雲や霞の表現、または画面全体に広く塗る用法とがあり、装飾的効果を表す。

銀粉を用いた場合は銀泥とよぶ。

写経の文字、また漆工芸に作例が多い。


*1 にかわ【動物性タンパク質などを使って作った接着剤】

2021年7月9日金曜日

升底切 ますぞこぎれ

古筆切。

伝藤原家隆筆。

金葉集の断簡、もとは冊子本。

料紙がほぼ方形で升の底のような形から名付けられた。

漢字の字形は整斉、仮名は線が太く、抑揚・緩急の変化に富む。

書風は家隆の熊野懐紙に似通うが、同筆とは認められない。



2021年7月2日金曜日

職人 しょくにん

 
中世では「しきにん」と呼び、職(収益権)を帯する者を称した。


守護職・百姓職・大工職・座頭職などがこれの例。


中世末期からは狭義に工人らを称するに至った。


中世の「職人尽絵」や「職人歌合絵」には、商工芸能の徒輩があげられている。

2021年6月25日金曜日

引き渡し ひきわたし


 茶道の免許状が家元から出てこれを弟子に取り渡すことで、師匠がその許状の点前手続きをして弟子のために茶を点て、そのあとで家元からの許状を渡すのが約束となっている。


もっとも、正式には茶事をして引き渡すのが当然である。

2021年6月18日金曜日

還暦 かんれき

 

六十一歳をいう。


再び生まれ年と同じ干支(十干十二支)が巡ってくる時には、六十一歳になっている。


本卦還り(*1)ともいう。


華甲・華甲子というのは「華」の文字を「十」の字六個と「一」の字一個に見立てての称。


祝賀の茶会や茶事などが催される。

 


*1 ほんけがえり

2021年6月11日金曜日

姫松金襴 ひめまつきんらん

名物裂の一つ。


地は白、文様は蝶。


互の目に配された蝶文様の向きが、正逆交互ではなく、上段は正・逆・正・正・逆、下段は逆・正・逆・逆・正の順に置かれ、飛び交う蝶の様を生き生きと織り表している。


名称の由来は不明。


時代は明代中期以降のもの。




2021年6月4日金曜日

原三渓 はらさんけい


実業家・茶人(*1)


製糸貿易を経営して成功、横浜第一の財閥となる。


古美術品を愛好、その鑑識に長じ、蒐集につとめた。


横浜に三渓園を設け、「臨春閣」などを移築する。


茶道を嗜み、益田鈍翁、高橋箒庵、岡倉天心らと交友、大師会を主催する。

 


*1 明治元年-昭和14(1868-1939)

2021年5月28日金曜日

多聞院日記 たもんいんにっき

興福寺の学侶の多聞院英俊法印の日記。


刊本5冊。


原本は散逸し写本が興福寺に残っている。


当代の社会経済資料としても珍重されるが、茶湯に関する資料も豊富である。


茶器・茶湯座敷にも及んでいる。古田織部が茶湯名人と記されている。


2021年5月21日金曜日

仁清信楽 にんせいしがらき


野々村仁清の作品のうち、信楽風な作品を特にこう呼ぶことがある。


仁清が信楽に赴いて製作したのではなく、粟田口(*1)などに伝わる信楽写の技法を習得し、黒谷土に砂を混ぜたりして製作したものかと推察されている。


作品には水指・花入などがある。

 


*1 あわたぐち

2021年5月14日金曜日

甘露煮 かんろに


水飴を加えた煮汁で、汁がなくなるまでとっくりと煮込む。


「飴炊き」ともいう。


鯉・焼鮒(*1)・焼鯊(*2)などのほか、栗・イチジクなども好まれる。


便法として、飴を用いずに砂糖ばかりで煮込み、仕上がりに味醂(*3)で味を調えることもある。

 


*1 やきぶな

*2 やきはぜ

*3 みりん

 

2021年5月7日金曜日

漢画 かんが


室町時代を主として、土佐派などの大和絵に対して、宗元画に倣って描かれた水墨画をいう。


通常如拙をその祖とし、周文を経て雪舟等揚で頂点に達し、桃山時代に狩野永徳・長谷川等伯・海北友松らが装飾性を加えた障屏画を描いた。

2021年4月30日金曜日

歌銘 うためい


茶入・茶碗・茶杓など茶器の銘を和歌から採ったもの。


和歌そのものを銘としたものもある。


古歌から採る場合が多いが、茶杓などで自作の歌を使うこともある。


特に小堀遠州は歌銘を好み、茶湯に文芸性を導入した。


中興名物の茶入が、その代表的な例である。

2021年4月23日金曜日

明朝仕立 みんちょうじたて


表具の一形式。


丸表具の左右に細縁を付したもの。


一般に薄い淡色の無地のものを用いる。


また同色のときは細金を入れる。


袋明朝とも称し、太縁のものは太明朝仕立という。


南画の表具によく行われ、中国明代に流行したところからの称と思われる。



2021年4月16日金曜日

客来一味 きゃくらいいちみ


画題。


心を一つに語り合える友の訪れの意であるが、その絵画的表現に、手近の菜園から収穫できる野菜類、つまり蕪や大根、茄子などを大きく描写する例がみられる。


このような蔬菜(*1)の料理こそ、心の通う友への接待法として表現された。

 

 

*1 そさい = 野菜、青もの

2021年4月9日金曜日

客組 きゃくぐみ


 一会を催すに際して、亭主が第一に考慮するのが客組を作ることで、まず正客を定めて、その一座の連客が相互に懇ろであるかを配慮する。


目上の人を招く時は、正客に客組をまかせて、「何名様同道でお願いします」という場合もある。




2021年4月2日金曜日

上田紙 うえだがみ


江戸時代は幕藩体制により、藩ごとに自給経済の政策をとっていたが、とりわけ製紙の専売制が盛行し、信濃の上田藩は正徳元年(*1)に専売制を敷いた。


紙の種類としては小杉原・小半紙など庶民のための安価で粗末な紙である。


 

*1 1711

2021年3月26日金曜日

町棗 まちなつめ

 

無名の町塗師の手になる粗末な棗。


木地・塗りとも粗雑ではあるが、侘びた作ゆきに茶味を見いだし、利休をはじめとする茶人に取り上げられたが、形に対する厳しい選択眼も見逃せない。


千家名物の利休町棗再来は著名。


これが町棗を最初に採り上げた例とされている。

2021年3月19日金曜日

堺 さかい


大阪府堺市。


安土桃山時代前後に貿易都市として発展し、納屋衆(*1)とよばれた有力町衆によって都市自治が行われた。


上層町衆の間では茶湯が盛行し、武野紹鴎・千利休・津田宗及・今井宗久・山上宗二など一流の茶人を輩出し、茶道文化の発展を担った。

 

 

*1 なやしゅう




2021年3月12日金曜日

合掌 がっしょう

仏教用語。


左右の掌(*1)を合わせ、仏を礼拝し、人には恭敬を表すインド以来の礼法。


神聖な右手、不浄な左手を合わせ、本来人間は神聖なるものと不浄なるものとを合一したところに真の姿があるという思想を示したものであるという。

 


*1 たなごころ

2021年3月5日金曜日

行者 あんじゃ


禅院用語。


禅院で住持や重役に従ってさまざまな用務をする使用人。


寺内に住み、多くは得度せず、俗体のまま務め、また妻帯する者もあった。


六祖慧能(*1)禅師は行者の身分で五祖弘忍(*2)禅師に嗣法(*3)したことはよく知られている。

 

*1 ろくそえのう=638年〜713


*2 ごそこうにん=602年〜675


*3 しほう=法統を受け継ぐこと

2021年2月26日金曜日

赤松 あかまつ

植木の一種。


日本全国各地に自生するマツ科の常緑針葉樹高木で、姿も美しく品格があり庭木として愛好される。


幹皮が赤く、そのために赤松と呼称される。


曙松(*1)ともいう。


黒松の強い濃緑の男性的姿に対照して女松(*2)ともよばれる。

 

*1 あけぼのまつ


*2 めまつ




2021年2月19日金曜日

手燭石 てしょくいし


蹲踞の役石の一つ。


手水鉢に向かって右側ないし左側、湯桶石の反対側に据え、手燭を置く石。


灯台石ともいう。


また中潜の内側の飛石の傍に据えてある石のことをもいう。


丈を高く、また上面は扁平なものを選び、手燭をのせやすいようにする。

2021年2月12日金曜日

平三畳 ひらさんじょう


横に細長い三畳敷。


豊臣秀吉の黄金の茶室は平三畳であった。


秀吉や津田宗及は平三畳を好んだのに対し、利休は三畳敷の場合、深三畳を好んだ。


平三畳は間口が一間半(*1)で四畳半と共通の構えを保持しているのが特徴である。


 

*1 2.7メートル

2021年2月5日金曜日

亀田是庵 かめだぜあん

?〜明治16(*1)


名は敦、復堂・桂陰・純叟などと号した。


金沢の茶人で、代々薬種商を営み、嘉永6(*2)には町年寄となっている。


茶湯は玄々斎宗室(*3)に学び、茶器の収集および鑑定に長じ、当時、大阪の平瀬露香と併称されたといわれる。

 


*1 1883


*2 1853


*3 げんげんさいそうしつ=裏千家11

2021年1月29日金曜日

浅草紙 あさくさがみ

 江戸時代、浅草で漉いた塵紙のこと。


楮皮(*1)の削りかすを利用した粗末な紙であるが、都会では反古(*2)類を集めて漉き返していた。


色の黒い粗悪なものを黒保(*3)、石灰を混ぜて白くしたものを白保(*4)とよんだ。


大量の需要があり、台東・江東・文京区に製紙圏が広がっていた。

 


*1 ちょひ =こうぞの皮

*2 ほご = 手紙、暦、古書物などで不用になった紙

*3 くろほ

*4 しらほ

 

2021年1月22日金曜日

留石  とめいし


露地の飛石の上に置いて、これより先へは通らないようにという標識とする石。


普通、径十センチ内外の丸みのある石に、蕨縄(*1)か棕櫚縄(*2)を十文字にかけ、上部の結び目を少し余すようにする。


関守の役目をすることから、関守石ともいう。

 

*1 わらびなわ


*2 しゅろなわ




2021年1月15日金曜日

赤穂焼 あこうやき


播州赤穂で造られた陶器。


鋳物師大島黄石が、嘉永初年(*1)頃、江戸今戸焼の土風炉師作根弁次郎に陶法を習って始めたものと伝える。


無釉・磨光・焼締の焼膚に煙による窯変を表した雲華焼を得意とした。ほかに楽焼や交趾写なども手がけている。

 


*1 1848

2021年1月8日金曜日

預鉢 あずけばち


懐石中で焼物や煮物など一汁三菜以外の料理を、鉢に入れて持ち出し、連客に自由に取ってもらうべく預けておくゆえに預鉢という。


また客側からとって頂く意味での「取り肴」、酒を勧めるための魚菜としての「強肴(*1)」などの別称もこれに類する。

 

*1 しいざかな

2021年1月1日金曜日

逢茶茶遇飯飯 ちゃにあえばちゃ はんにあえばはん


茶を出されれば有難く茶を喫し、飯を供されれば感謝して飯をいただくということ。


人生百般のことの上に置いて、その時その場の与えられた諸条件に、主体的にしかも無理なく、無心に即応し、少しの執着もなく生きる大禅者の境涯を、茶と飯に託して表現した句。