2007年12月28日金曜日

万代屋釜 もずやがま

茶湯釜の一種。

利休が好みで辻与次郎に作らせ、その女婿の万代屋宗安(*1)に贈った釜の形から出たもの。

形は一定しないが、広口、鬼面鐶付(*2)で、肩及び腰に二本の筋があり、その間に累座がある。

累座の代わりに巴紋のあるものもある。

*1 もずやそうあん
*2 きめんかんつき

2007年12月21日金曜日

献茶 けんちゃ

神仏や貴人に茶を献供することをいう。

中国では古くから行われ、わが国でもこれに倣い、奈良・平安時代頃から施行されるようになった。

なお、神前に供えるのを「献茶」、仏前に供えるのを「供茶(*1)」と呼び分けることもある。

*1 くちゃ

2007年12月14日金曜日

伊藤左千夫 いとうさちお

元治元年〜大正2年(1864-1913)。

歌人・小説家。

正岡子規に師事し、歌誌「アララギ」の中心となり、『野菊の墓』などの小説を書いた。

若い頃から茶湯を学び、晩年には『唯真閣』という茶室を設けた。

茶湯に関する歌も多く残す。

2007年12月7日金曜日

敷松葉 しきまつば

赤葉となって落ちた松葉を拾い集め、それを冬期に飛石や延段などの渡り以外の露地一面に敷くことをいう。

苔が寒冬の霜で痛むのを防ぐために行うのであるが、侘びた景色を添えることにもなる。

敷松葉に用いる落松葉は新しいものがよい。

2007年11月30日金曜日

中潜 なかくぐり

中門の一種で、外露地と内露地を分かつ門。

利休の頃には見られず、『翁草』などには古田織部が創始したとある。

一説には金森宗和(*1)の作意とも伝えられている。

表千家にある中潜は現存する中での代表的なものである。

2007年11月23日金曜日

寒山拾得 かんざんじゅっとく

中国唐時代の奇僧である寒山と拾得の飄逸な姿を組み合わせた画題。

それぞれ単独で描かれることもある。

通常寒山は経巻か筆を、拾得は箒を持つか天を指さしている。

日本では鎌倉時代末期以降、狩野派(*1)の画家らによって多く描かれた。

*1 かのうは

2007年11月16日金曜日

如庵 じょあん

国宝。

建仁寺塔頭(*1)正伝院に設けられた織田有楽(*2)の茶室。

東京の三井家本邸、大磯の別荘と移築されて、現在は愛知県犬山城下の有楽苑(*3)にある。

腰張に古暦が使われているので、「暦張席」(*4)、「暦亭」(*5)とも呼ばれている。

*1 けんにんじ たっちゅう
*2 おだうらく
*3 うらくえん
*4 こよみばりのせき
*5 こよみてい

2007年11月9日金曜日

椿の井戸 つばきのいど

堺の利休邸の跡に在った利休遺愛の井戸。

名称の由来については、井戸の側に椿の木があったからだとも、昔は井戸の水を清澄にするために椿の木を焼いた炭を井戸の底に沈める習慣があったからだともいう。

2007年11月2日金曜日

畠山一清 はたけやまいっせい

明治14年〜昭和46年(1881-1971)。実業家。

号 即翁(*1)。石川県生まれ。

荏原製作所(*2)を創立し、その社長・会長を務めるかたわら、茶湯、能楽などに傾倒。

昭和39年畠山記念館を設立し、収集品の茶道具をはじめとする美術品を展観。

*1 そくおう
*2 えばらせいさくしょ

2007年10月26日金曜日

蕨箒 わらびぼうき

露地用具の一種で、竹の軸に蕨の根の繊維を束ねて青苧(*1)でしばり、これを内露地の塵穴近くにかけておくもの。

内露地用の飾り箒で、実用よりも入席前の雑念の払拭を目的とした用具とみるべきであろう。

*1 あおお

2007年10月19日金曜日

隠れ窯 かくれがま

江戸時代には、各藩の窯業には厳重な禁制があって、窯場や窯数などが定められていた。

それで、腕に自信のある者は法規をくぐってへんぴなところで、ひそかに陶器を焼いていた。

これがいわゆる隠れ窯、隠れ焼である。

2007年10月5日金曜日

安南焼 あんなんやき

安南地方(ベトナム)で製作された陶磁器の総称。

ベトナムでは中国陶磁の影響で早くから白磁・青磁が焼かれていたが、14,5世紀からは染付・赤絵の製作も始まった。

「絞手(*1)」と呼ばれる安南染付が最も珍重されまた数も多い。

*1 しぼりで

2007年9月28日金曜日

藤袴 ふじばかま

秋の七草の一つ。古名 あららぎ。

キク科の多年草で草丈は約1メートル。

中国原産で、奈良時代に渡来し、薬として用い、昔は茎葉の半乾品を匂袋や入浴料などにした。

名前は、花が藤色で、弁のつつを袴に見立てたことに由来する。

2007年9月21日金曜日

松平不昧 まつだいらふまい

寛延四年〜文政元年(1751-1818) 。

名 治郷(*1)。

出雲松江藩七代藩主。

不昧流の祖。

茶湯は幼少時より親しみ、遠州流や南坊流も学んで茶禅一味の精進に励んだ。名物の大収集をなし「雲集名物帳(雲集蔵帳)」(*2)の名で知られる。

*1 はるさと
*2 うんしゅうめいぶつちょう(うんしゅうくらちょう)

2007年9月14日金曜日

香雪美術館 こうせつびじゅつかん

伊勢の出身で、朝日新聞社経営、社主の村山龍平(香雪)が生前に収集した美術品を展観した美術館。

昭和四十八年に、香雪四十年祭を記念して神戸市東灘区に開館。

所蔵品には書画・茶道具・彫刻・刀剣などがある

2007年9月7日金曜日

燕庵 えんなん

京都藪内家(*1)の代表的な茶室。

織部が大阪へ出陣の折、薮内紹智(*2)に譲った京屋敷の茶室。

三畳台目で客座と二枚襖(*3)で隔てる相伴席(*4)を設けている。

窓は全部で十を数えるが、こうした茶室の多窓化は織部の好みをよく表している。

*1 やぶのうちけ
*2 やぶのうちじょうち = 藪内家一世
*3 ふすま
*4 しょうばんせき

2007年8月31日金曜日

醒ヶ井 さめがい

名水の一つで、京都市醒ヶ井六条にあった。

佐女牛井(*1)とも呼ばれている。

わが国最古の茶湯の水と伝えられ、珠光・紹鴎らの愛用の水という。

その後、井筒も埋み隠れたのを、元和二年(1616)織田有楽(*2)が再興し、井筒に刻銘を残した。

*1 さめぐい
*2 おだうらく

2007年8月24日金曜日

唐物 からもの

中国より伝来の茶器類をはじめとする物品の総称。

古代からの呼称だが、特に室町時代に舶来の宋・元代の織物や調度品、茶道具類にこの称が行われた。

明朝(*1)に発達した金襴(*2)・緞子(*3)などの織物が唐物の称を流布した。

*1 みんちょう
*2 きんらん
*3 どんす

2007年8月17日金曜日

柳営御物 りゅうえいぎょぶつ

柳営とは幕府のことで、徳川将軍家秘蔵の名物茶器。

徳川家康の収蔵品が基礎となり、徳川家光の代に膨張した。

後代になっても増減があるが、徳川家綱までの名物が称される。

初花肩衝茶入(*1)、藤四郎(*2)の茶壺などがある。

*1 はつはなかたつきちゃいれ
*2 とうしろう

2007年8月10日金曜日

野点 のだて

野外で自然の風物に接しつつ茶を点てること、及びその茶会。

古くは野掛(*1)と称した。

また、「南方録(*2)」には、ふすべ茶とも書かれている。

場所の選択と清浄感に心を配り、季節や場所に趣向をこらすところに楽しみ、面白みがある。

*1 のがけ
*2 なんぼうろく

2007年8月9日木曜日

堆朱 ついしゅ

漆芸技法の一種。

朱漆を厚く塗り重ねて、最後に模様を彫り出したもの。

中国唐時代に始まったと思われ、宋時代に盛んになる。

わが国には鎌倉時代に伝えられた。

黄漆を塗り重ねたものを堆黄(*1)、黒漆のものを堆黒(*2)という。

*1 ついおう
*2 ついこく