2015年12月25日金曜日

夕ざりの茶事 ゆうざりのちゃじ



茶事の一種で、時違の茶事ともいう。

午後四時頃から催されるもので、正午でも夜咄でもなく、夕方より催されるところからの称。

亭主は炉の底をとって濡れ釜をかけ、ゆるゆると動作し、夜に入ると灯火をともし、夜咄と同様の心配りがなされる。

2015年12月18日金曜日

黒田正玄(初代) くろだしょうげん



天正6年ー承応2(*1)

茶匠。

越前の人で、長じて上京し、小堀遠州に茶湯を学び、日々怠ることがなかったので「日参正玄」の異名を得た。

黒田庄兵衛から柄杓作りの伝を受けて、千家の柄杓師となった。

以後、子孫代々業を継ぎ、今日に至る。

*1 1546 - 1653

2015年12月11日金曜日

暁の茶事 あかつきのちゃじ



茶事七式の一つとされ、冬期の暁に催す茶事。

夜込め・残灯・残月の茶事とも称する。

前夜から仕掛けた釜・灯火類は夜半に一旦消して、再び未明から油を補い、火を点じてまだ暗い内に客を迎える。

終わる頃に夜が明け放たれる風情を楽しむ茶事である。

2015年12月4日金曜日

露地門 ろじもん



露地口に設ける門。

軽快な形式が望ましい。

萱門(*1)・柿葺門(*2)・小瓦葺門などいろいろある。

屋根は切妻・入母屋・寄棟などで、扉には両開戸として網代戸・唐戸・透し彫板戸などを用いている。

軒打は漆喰のたたきや真っ黒の畳石敷など。

*1 かやもん
*2 こけらぶきもん

2015年11月27日金曜日

雲堂手 うんどうで



中国明代初期に景徳鎮の民窯で焼成された染付の一種。

まれに赤絵のものもある。

渦巻状の雲と楼閣の文様が多く描かれるためこの称がある。

昔から茶人に茶碗・香炉・火入として用いられてきた。

形は切立形が多く、文様は力強く筆太に描かれている。



2015年11月20日金曜日

宋胡録 すんころく



タイの古都スワンカロークなどで13世紀から16世紀にかけて焼造された古陶。

スワンカロークの地名が訛って宋胡録と称した。

わが国には桃山時代から江戸時代初期にかけて輸入され、以来茶人たちによって親しまれている。



2015年11月13日金曜日

大津絵 おおつえ



大津の追分付近で東海道を往来する旅人相手に土産物として売られていた民芸的な絵画。

追分絵ともいう。

はじめは三尊仏や来迎図など民衆の持仏的なものであったが、次第に鬼の念仏・藤娘・瓢箪鯰など戯画的なものとなっていった。

 



2015年11月8日日曜日

江戸千家 えどせんけ



川上不白を開祖とする茶道流派の一つ。

不白は18歳の時、表千家如心斎(*1)の門に入り、如心斎・一燈宗室(*2)らと七事式を制定。

 30歳の頃江戸に居を構え、表千家の茶道発展に努めた。

不白以後分派し、表千家不白流と称える一派もある。


*1 じょしんさい 表千家7 (1706 - 1751)
*2 いっとうそうしつ 裏千家8 (1719 - 1771)

2015年10月30日金曜日

琴棋書画図 きんきしょがず



 漢画画題の一つ。

中国において高士の遊技とされるに至った琴・棋・書・画の四芸を嗜む姿を描いたもの。

日本でも室町時代から知られ、なお勧戒(*1)画的な意味をもってくる。

狩野派をはじめ雲谷・海北各派によって多く制作された。 

*1 かんかい = 善を勧め、悪を制すること。


2015年10月23日金曜日

雲脚茶会 うんきゃくちゃかい



簡略粗末な茶会をいう。

『看聞御記(*1)』に「台所において雲脚茶会これを始む。侍従局女、地下男ども済々相交わる。順事なり。これ毎年の儀なり」とあるように、地下衆(*2)が加わって催される略式の順事茶会であった。

台所雲脚とも称される。


*1 かんもんぎょき 後崇光上皇の日記
*2 じげしゅう

2015年10月16日金曜日

六窓庵 ろくそうあん


東京国立博物館園内の茶室。

もと奈良の興福寺慈眼院に建てられた金森宗和好の茶室。

明治8年に博物館が購入、解体輸送中に伊豆で船が難破したが、幸い解体材は流失をまぬがれ、館の後苑に再建することが出来たという。

三畳台目で六窓を具えている。


2015年10月9日金曜日

世尊寺流 せそんじりゅう


藤原行成(*1)の書流。

この称は行成が長保4(*2)にその邸内に世尊寺を建立したのに因む。

行成は和様書体の大成者であり、草仮名などを主体とする行成様式がその子孫を中心として伝えられた。

鎌倉時代までその全盛がうたわれた。




*1 ふじわらのゆきなり (972 – 1027)

*2 1002

2015年10月2日金曜日

三田焼 さんだやき


摂津国(*1)三田の青磁。

寛政11年同地の富商 神田惣兵衛が、陶工 内田忠兵衛の青磁焼成の悲願にほだされ天狗ヶ鼻に二基の登窯を築いたのにはじまる。

有田からも陶工を招き、文化初年には青磁の試焼に成功した。

天龍寺青磁風の暗緑色の釉が特色。



*1 せっつのくに 現在の兵庫県

2015年9月25日金曜日

嵯峨蒔絵 さがまきえ


京都嵯峨嵐山の春秋の風物を蒔絵の図柄としたもの。

枝垂桜・藤・松皮菱・桜に幔幕などが描かれている。

技法上、高台寺蒔絵と共通する時代形式を示している。

なお、角倉素庵(*1)の嵯峨本の下絵に手法が似ることから、素庵の創成という説もある。



*1 すみのくらそあん 1571 - 1632