紅毛(*1)香合。
頸の長い鳥形の香合で、白鳥をかたどったものといわれる。
白釉の掛かった軟質陶器で、嘴(*2)や足先などに赤・黄・萌黄(*3)などの上絵の具をさしている。
伝世品は少なく、型物香合番付で勧進元に位置付けられている。
*1 おらんだ
*2 くちばし
*3 もえぎ
中国宋金時代の青磁のうち、華北(*1)の諸窯の青磁を総称して北方青磁とよぶ。
華北では、隋・初唐の七世紀に青磁窯が築かれたが、盛唐以来消息が途絶え、北宋前期になって、華南(*2)の越州窯の影響で再び青磁窯が築かれ、いわゆる北方青磁が焼造された。
*1 かほく=中国北部
*2 かなん=中国南部
陶磁器の成形用具。
蹴轆轤を使う技法は朝鮮半島から導入されたといわれ、そのため日本では関西以西にこの轆轤を使う窯が多い。
日本で使われている蹴轆轤は上下の円盤を四本の棒でつなげたもので、下の円盤を蹴り轆轤を回転させ、器を成形させる。
表装の細見のことで、本尊表具・唐表具などで天地・中縁・一文字の間に入れる細い筋をいう。
本尊表具では中縁の内の細金を白、外を紫にするが、唐表具・袋表具では種々の色を用いる。
その幅は五厘から七厘(*1)で、太くとも一分(*2)どまりである。
*1 約1.5ミリから約2.1ミリ
*2 約3ミリ
真・行・草の中で最も正規の格式をはずしたたたずまいの座敷。
具体的には、長押(*1)を付けず丸太柱に土壁であることが、草の座敷に共通する特徴である。
草庵風な茶室はこれに属する小間で、「草の小座敷」ともいわれる。
それは「佗の小座敷」の性格にも通じる。
*1 なげし
細長い長方形の角柱状切石をいう。
建物の基壇などの縁取りに用いられるが、造園材料としては雨落や花壇などの縁石などに用いる。
また、石橋としたり、敷石や飛石の中に配したり、用途は広い。
幅が広いものは、その形から短冊石という。
屋根葺きの一種で、檜皮を葺き材にしたもの。
檜(*1)の樹皮を立ち木のまま剥ぎ取ったものを、下から順次に葺き竹釘を打って留める。
檜皮は緩やかな曲面を作ることができ、見た目に優雅上品で、瓦葺きよりも軽快である。
*1 ひのき
茶湯釜。
繰口、肩は丸みを帯び下がり、胴はほぼまっすぐになる。
羽落ち丸底で布・砂・たたき肌などで鐶付は鬼面。
製作についての逸話が幾つかあるが定説はない。
安土桃山時代後期頃からの好釜として製作されたと考えられる。
禅宗の用語。
古人の説法や問答に、寸評を付けること。
またはその言葉。
韻文のものを頌古(*1)、短い散文のものを著語、やや長いものを拈古(*2)とよぶ。
宋代には、著語は本則の一句ごとにつけられる傾向があり、『碧巌録(*3)』はその代表である。
*1 じゅこ
*2 ねんこ
*3 へきがんろく
仏教用語。
米二、三分、水七、八分で炊く。
粥十利といい、僧食として十種の利ありとする。
禅林では朝食に粥を食するのが原則であるところから朝食の意ともなる。
平常の白粥のほか、正月十五日の小豆を入れた紅調粥、成道会の雑穀を入れた五味粥などがある。
透垣(*1)の一種で、輪郭の芯に当たる部分を萩にし、上部は丸くして弧を描くようにし、下部、すなわち内部は黒穂で張ってゆき、中央部に二、三の扇形の覗き窓を意匠した垣根である。
風を通し、萩や黒穂を材料にしているので、この名称がある。
*1 すいがき
昭和59年3月、京都市左京区南禅寺に開館。
創立者の野村得七(号得庵)は、野村財閥を築いた。
一方その傍ら藪内流の茶道を習い、風流にいそしんだ。
そのコレクションは得庵が、明治から昭和にかけて収集したもので、茶道具が主体である。
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庭石の一種。
京都市右京区嵯峨地区、主として保津川流域から採取される自然石。
色彩は種々であるが、暗青色が主で、白条が縦横に入り、美しく品格のある石である。
古くから庭石として愛好され、天竜寺庭園ほか多くの名園に用いられている。
棚物の一種。
京都の木屋町に三井本家の別邸があり、毎年秋に同家で法要が行われ、碌々斎(*1)の代にはその都度献茶が行われていた。
その時の記念の一つとして同家当主の依頼によって碌々斎が好んだ棚。
その町名に由来してこの名がある。
*1 ろくろくさい=表千家11代
横に長い本紙に記された書画を表装し、軸に巻いたものをいう。
巻子本(*1)、軸物ともいう。
経巻・絵巻物などがそれであるが、書簡や目録類もこの形式をとる場合がある。
また反物、長尺ものの布地類も巻物形式の一つといえる。
*1 かんすぼん
上田宗箇を祖とする茶道流派。
宗箇は広島藩家老として国政に参与したため、直接教授せず、野村休夢・中村知元を「上田家茶事預かり師範」として茶技を伝えた。
以降、野村・中村家が交替して師範となる。
現在は16代上田宗冏 (*1) 氏が家元として活動されている。
*1 うえだそうけい
煤けて赤黒くなった竹。
民家の屋根の下地や天井の竹が長年にわたってかまどや囲炉裏の煙を受けて煤けたものを素材とする。
磨くと美しい茶褐色の色艶を帯びるので、茶筅をはじめとする工芸品の材料や茶室の建材などとして愛好される。
明和4年〜天保4年(*1)。
江戸後期の京都の陶工・文人画家。通称を佐兵衛。
木米は号で、ほかに九々鱗・古器観・聾米(*2)などがある。
製陶技法を京都の奥田頴川(*3)に学び、古陶器を模倣して造る摹陶(*4)の技に優れ、唐物写の名手とうたわれた。
*1 1767~1833
*2 ろうべい
*3 おくだえいせん= 1753~1811
*4 もとう
閼伽は梵語で、供養・功徳の意。
仏や貴賓に備える物をさし、その容器やその内容(浄水・香水)、供物を意味する。
仏に供える水をいい、仏寺に於いて自然に湧出する井泉・閼伽を汲む井戸を閼伽井と称した。
静粛な茶湯における井泉・水屋の根源をなすものと考えられる。
茶具の寸法書。
著者・発行年未詳。
一冊。
台子・棚・円板・灯台・露地行灯その他の茶具の高さ・幅などの寸法、板の厚さ、および各部分の色塗りなどについて記したもの。
すべてを図解して、各部の寸法を記している。