2022年12月30日金曜日

知足 ちそく


「足るを知る」また「知足安分(足るを知って分に安んず)」という意味。

貪り(*1)の欲を抑えてみずからの分相応のところ、「腹八分目」のところで心の満足を見いだすこと。

仏教や東洋道徳において非常に重んじる徳目である。

*1 むさぼり
================================
平成19年より15年間発刊しておりましたが、
今号をもちまして最終号とさせていただきます。
長い間、ご愛読をいただき本当にありがとうございました。
深く感謝申し上げます。
================================

2022年12月23日金曜日

鰭板 はたいた


本来は庇(*1)の両側、縁側の先端などに用いる板のことをいうが、指物では、棚物の柱の上下に付いている魚のひれのような形をしている力板をいい、「ひれ」という。

及台子・丸卓・四方棚などは、柱にこの「ひれ」が付いている。

*1 ひさし

2022年12月16日金曜日

替茶器 かえちゃき


多人数の茶会などで、一個の茶器の茶量では一席に足りない時に控えの補給用として用意される茶器をいう。

この場合、主茶器と異なった材質・形態のものを使用する。

また棚物使用の場合、一つの変化の趣として替茶器を飾ることがある。

2022年12月9日金曜日

一口香 いっこうこう


菓子で唐饅頭の一種。

逸口香などとも書く。

歴史は古く唐の禅僧や東シナ海を航海する中国人の貴重な保存食として渡ってきた。

原料は純白の小麦粉で、内部に黒砂糖を入れて焼くと中の砂糖が飴のように溶解し、ほぼ空洞になっている。

長崎や佐賀が名産。

2022年12月2日金曜日

幕釉 まくぐすり


口辺から二重、三重に厚く掛けた上釉のこと。

釉なだれが幕を張ったように見えるところから名付けられている。

おもに樂家三代道入の作品の特徴としてあげられ、「升」「桔梗」「青山」など、著名な作品にみられる技法である。

2022年11月25日金曜日

京瀬戸 きょうせと


天正から寛永年間(*1)に、宗伯・正意・万右衛門・新兵衛・源十郎・蔵右衛門・吉兵衛・道味・光存・茶臼屋・茶染屋・長存・宗意・大平・道祐などが製した茶器類。

瀬戸釉を用いて京都で焼いたのか、京都の人が瀬戸で焼いたのかは判然としない。

*1 1573-1644

2022年11月18日金曜日

喚鐘 かんしょう


仏教・茶道用具。

半鐘・小鐘の類で、僧の進退を告げるのに用いる。

例えば、独参で修行者を方丈に入らしめる時の合図に鳴らす。
また広間の茶室でも用いられ、茶席の準備が整って客の入来を促す合図に打ち鳴らされる。

2022年11月11日金曜日

控え釜 ひかえがま


水屋の準備として釜をかけておくこと。

正式な水屋構えには丸炉があり、当日茶事中に本席の釜に支障が生じた時の用意として準備する。

例えば釜の湯が漏れ出したとか、釜の中に不手際にて蓋置を落としたりした時は、その控え釜を持ち出し掛け替える。

2022年11月4日金曜日

房州石 ぼうしゅうせき


石材の一種。

房総半島中南部から切り出された凝灰質砂岩ないし粗粒凝灰岩の総称。

産地により元名石・金谷石・堤ヶ石・本胡麻石などがある。

加工しやすく、耐火力に強いが、寒気には弱い欠点がある。

礎石・敷石・板石その他の加工品として使用される。

2022年10月28日金曜日

雁擬 がんもどき


油揚げの一種で、飛竜頭(*1)ともいう。

味が雁の肉に似ているところからの名称。

水気をきって崩した豆腐に、山芋・卵などを加えてつなぎにし、ささがき牛蒡・千切り人参・きくらげ・麻の実・銀杏などを入れて油揚げにしたもの。

煮物椀などに用いる。


*1 ひりゅうず

2022年10月21日金曜日

衣被ぎ きぬかつぎ


里芋を皮付きのまま蒸すか茹でるかしたもの。

塩を振って供する。

現在好まれている料理のうち、最も素朴かつ古風なものと思われる。

もともとは田舎風な素朴さを供したものであって、京料理などという分野に属するものではなかった。

2022年10月14日金曜日

古則 こそく


禅宗の用語。

古人の説法、もしくは問答をいう。

のちに、著語(*1)や頌古(*2)が付けられるようになって、それらのテキストになるものとしての本則、もしくは公案ともよばれる。

公案は、裁判の判例の意で、のちの判決の手本となるためである。

*1 じゃくご
*2 じゅこ

2022年10月7日金曜日

御物袋 ごもつぶくろ


護物袋とも書き、茶器の袋の総称。

やすめ袋・丸袋・平袋ともいう。

紫・白・朱色などの縮緬(*1)や羽二重(*2)を打ち合わせにし、中に薄綿を入れ、口にかがり緒をつけ、長緒を通して仕立てた袋物。

茶器が破損しないようにこの袋に入れてから箱に収納する。

*1 ちりめん
*2 はぶたえ

2022年9月30日金曜日

四愛 しあい


梅・蘭・蓮・菊の四種の植物をいう。

四君子を踏まえつつも、やや趣が異なり、梅は林和靖(*1)、蘭は黄山谷(*2)、蓮は周茂叔(*3)、菊は陶淵明(*4)と、それぞれが愛した植物に由来する。

文人画にみられる画題である。

*1 りんなせい
*2 こうさんこく
*3 しゅうもしゅく
*4 とうえんめい

2022年9月23日金曜日

日野椀 ひのわん


滋賀県蒲生郡(*1)日野で生産した椀。

蒲生氏の城下町であった天文年間(*2)に、塗師町・堅地町があり、漆器の生産が行われた。

蒲生氏の転封や宝暦六年(*3)の大火で、漆器生産が衰微したが、日野商人の活躍で日野椀の名は広く知られた。

*1 がもうぐん
*2 1532~1555
*3 1756

2022年9月16日金曜日

立て塩 たてじお


およそ塩一に対して水六を基準にした海水程度の塩辛さの塩水で、用途により加減する。

魚介類の下洗いに用いれば、旨味が逃げず余分な水分も吸わない。

野菜や果物の色止めや保存(漬物等)にも用いる。

立て塩に材料を漬けて、塩味を含ませる用途もある。

2022年9月9日金曜日

須坂焼 すざかやき


信濃国(現在の長野県)須坂の藩主 堀侯の御庭焼。

弘化2年(*1)初代 吉向治兵衛を招いて開窯する。

土はほとんど京都より運び、広く陶器・磁器・楽焼などを焼成。

なかでも糸巻香合、土瓶付焜炉(*2)などの妙作が伝わっている。


*1 1845
*2 こんろ

2022年9月2日金曜日

土の物 つちのもの


陶器を表す古い言葉。

『君台観左右帳記』に「土の物」とあり、天目類・葉茶壺(茶壺)・抹茶壺(茶入)がこの類に含められている。

また天文年間(*1)以後の茶会記にもこの言葉はみられるが、その多くは水指で、おそらく備前や信楽などの焼締陶と考えられる。


*1 1532~1555

2022年8月26日金曜日

根付 ねつけ


印籠・煙草入・巾着などを腰に提げるとき、提げ緒の端に付けて帯の間に挟み、ずり落ちるのを防ぐ用具。

古くは印籠と共に作られていたが、江戸時代中期以後、煙草入の流行にともない根付細工が盛んとなる。

素材は象牙・木彫・金属・漆器などがある。

2022年8月19日金曜日

手鑑 てかがみ


名筆の鑑賞や筆者の鑑定の便のために、経巻や歌書・消息などの巻子本や冊子本から、その一部を切り取って収集し帖に編集したもの。

手鑑の作成は桃山時代から江戸時代の全期間を通じて流行し、写経手鑑・色紙短冊手鑑・古文書手鑑など種別の手鑑も作られた。

2022年8月12日金曜日

遺偈 ゆいげ


禅院の用語。

死に臨んで、自らの一生を総括する、漢語の詩。

四字四句、または五字四句が基本。

辞世、絶筆ともいう。

真蹟の現存するものも多く、墨蹟として尊重される。

中国では無準師範(*1)、日本では円爾弁円(*2)のものなどがその典型。

*1 ぶじゅんしばん=(1177~1249)
*2 えんにべんねん=(1202~1280)

2022年8月5日金曜日

簾 すだれ


葭(*1)を揃えて麻糸で編み、上下に割竹を添えたもので、竹の皮付の方を外にして折釘に掛ける。

茶室の下地窓・連子窓・貴人口の外側に掛け、席中の採光の調節を図る。

小間には皮付の葭、広間には皮むきの葭を使う。

また絹の縁布の付いたものは御簾(*2)と称する。

*1 よし
*2 みす

2022年7月29日金曜日

台子七人衆 だいすしちにんしゅう


豊臣秀吉の許可により、千利休から台子の茶式を伝えられた七人をいう。

『貞要集』によれば、豊臣秀次・蒲生氏郷・細川三斎・木村常陸介・高山右近・瀬田掃部・芝山監物をさす。

織田有楽は利休から別室で極意を伝えられたとある。

2022年7月22日金曜日

本茶非茶 ほんちゃひちゃ


鎌倉時代から室町時代初期にかけ、京都栂尾(*1)に産する茶を本茶と称し、その他の地で栽培されたものを非茶といって区別した。

しかしながら、室町初期以降、栂尾の茶園は荒廃し代わって質の良くなった宇治の茶が本茶とされるようになった。

*1 とがのお

2022年7月15日金曜日

堅地塗 かたじぬり


漆工芸の下地塗の一法。

本堅地ともいう。

砥の粉または地粉を水に練り合わせ、それに生漆を加えてよく混ぜ合わせたものを器胎に塗る。

粗い粉末を混ぜたものを下に、細かい粉末のものを上に塗重ね、回数を重ねると丈夫な塗物ができる。


2022年7月8日金曜日

誰ヶ袖 たがそで


意匠の一つ。

桃山時代から江戸時代にかけて流行した婦人の豪華な衣装を衣桁(*1)・衝立に掛けた図。

屏風絵などに用いられた。

また、この袖の部分を文様・形状の意匠に採り入れた器物。

茶道具に誰ヶ袖文様の茶碗・水指・薄茶器、また、誰ヶ袖形香合などもある。

*1 いこう

2022年7月1日金曜日

東山流  ひがしやまりゅう


利休流という呼称に対して、能阿弥の流儀を想定したらしい。

流儀茶道の発生時代に利休流の称が生まれ、やがて千家流と称されるのに対し、東山文化の茶湯が東山流と称されるに至った。

因みに、堺流、続いて奈良流などという称はあえて異を立てたものと言える。

2022年6月24日金曜日

軒内 のきうち


軒下の地面をさし、外壁足元から軒の雨落ちまでの範囲をいう。

泥はねを抑え、水はけを良くするために、軒内をたたきにして水勾配を付けたりしていたのが、軒内も露地の重要な一部分となり、積極的に意匠されるようになった。

2022年6月17日金曜日

運び点前 はこびてまえ


水指をはじめ点前道具を水屋から運び出してする点前をいう。

そのほか点前以外でも、すべて勝手から持ち出すことを”運ぶ”と呼ぶ。

膳を運ぶ、炭斗を運び出すなど。

また大寄せの茶会などで、勝手で点てた茶を茶席に運び出す人を“お運び”という。

2022年6月10日金曜日

方立口 ほうだてぐち


出入口の脇に方立を立て、角柄(*1)の鴨居を用いる形式で、茶室の茶道口や給仕口に使う。

古田織部は方立に竹を用いた。

建具として太鼓張りの襖を片引き、あるいは引き違いにする。

方立・鴨居を用いず壁を塗り回した火灯口とは対照的と言える。


*1 つのがら

2022年6月3日金曜日

寄付 よりつき


茶会に招かれた客が連客を待ち合せたり、身支度を調えて席入りの準備をするための施設。

袴着(*1)・待合ともいう。

住居の一部を当てることもあるし、外露地に独立の建物として設けることもある。

外腰掛が寄付の機能を兼ねることもある。


*1 はかまつけ

2022年5月27日金曜日

露地口 ろじぐち


露地の入口のこと。

茶湯はこの露地口を入る時から始まると利休は説いていた。

形式は一定しないが、露地の周囲を巡らした高塀に潜りをあけ引戸を立てるのが通例で、交潜り形式をとることも多い。

また露地門を構えることもある。

2022年5月20日金曜日

甫竹 ほちく


利休時代の茶杓師。

堺の人。

通称重右衛門。

もと絹商人だといわれる。慶首座(*1)に茶杓削りの技を学び、利休よりその秘伝を受けて茶杓師となり、古田織部の愛顧を受け、徳川秀忠にしばしば茶杓を献上したという。

子孫4代みな甫竹を称した。


*1 けいしゅそ = 桃山時代の禅僧。茶杓削りの名手。


-----

2022年5月13日金曜日

毛峰茶 もうほうちゃ


毛峰は中国黄山の峰の名で、毛峰茶は岩茶であり、雲霧茶(*1)である。

種類も多いが、固く締まり、茶湯はいくらか赤みを呈するが、青臭も苦みもなく、花香茶(*2)にする。

産地により茶色は違うが、黄山毛峰と銘された雲霧茶が絶品である。


*1 うんむちゃ=高度千メートル以上の高原茶
*2 ほうしゃんちゃ

2022年5月6日金曜日

紀州石 きしゅういし


石材の一種。

紀州青石ともいう。

和歌山県海草郡西脇野付近から沖の島付近へかけて採取される緑泥片岩である。

紀南海岸には天然の露頭が多い。

石質は軟弱で粗面である。

近畿地方の庭園に見る青石はここから運ばれたもので、室町時代以降の作庭に多く用いられている。


2022年4月29日金曜日

鶯垣 うぐいすがき


露地の囲い垣の一種。

土台は使わず、枝付きのツツジを張り付け、その上を割り竹で押さえてくくりつけた垣根。

また、ツツジ以外では、この方法で黒文字の幹枝を使い、割り竹で両側から挟んで作ることもある。

侘びた意匠で草庵露地にふさわしい。

2022年4月22日金曜日

正木美術館 まさきびじゅつかん


昭和43年、大阪府泉北郡忠岡町に開館した。

実業家の正木孝之氏の収集品で小野道風筆「三体白氏詩巻」、藤原行成筆「後嵯峨院本白氏詩巻」、「大灯国師墨蹟」の3点の国宝と7点の重要文化財を主に水墨画・墨蹟・考古品陶器など、東洋古美術のコレクションである。

正木美術館の公式サイト↓↓
http://masaki-art-museum.jp/

2022年4月15日金曜日

破風窯 はふがま


瀬戸系茶入六種(*1)の内の一。

四世藤四郎の作と伝えられる。

破風の名は茶入の釉掛かりの裾際が屋根の破風の形に似るため。

破風窯は更に翁手・市場手・口広手・渋紙手などに細分されるが、いずれも古瀬戸・真中古などに比べて作風が自由になってきている。


*1 古瀬戸・春慶・真中古・金華山・破風窯・後窯

2022年4月8日金曜日

三光 さんこう


本来は天体の日(太陽)・月・星からとられた称で、茶湯では器物の置き合わせの相(すがた)をさしていう。

水指の前に茶入・茶碗を置き合わせるとか、懐石膳の上に、飯椀・汁椀・向付と配するのもいう。

三光を崩さずと戒めとしたもの。

2022年4月1日金曜日

石目塗 いしめぬり


塗面に細かい凸凹が現れている塗り方。

黒塗りの茶道具に多い。

京都清滝の清流石の薄片を鱗状にして蒔き、その上に漆を塗り込んで研ぎ上げて仕上げるもの。

石と漆との堅さの相違が凸凹の面となって現れるもので雅味が深い。

2022年3月25日金曜日

利休七哲 りきゅうしちてつ

 
利休の弟子の武家七人をあげていう。

『江岑夏書(*1)』には、「利休弟子七人衆」とあり、蒲生氏郷、高山右近、細川三斎、芝山監物、瀬田掃部、牧村兵部大夫、古田織部をあげる。

後世、織田有楽あるいは荒木村重を加えるなど様々な茶書で構成が微妙に変わる。

*1 こうしんげがき=寛文3年表千家4世江岑が執筆

2022年3月18日金曜日

乾漆 かんしつ


木材・粘土・石膏などを用い原型を作り、数枚から数十枚の麻布を糊漆ではり重ね造形した後内型を抜き取り塗り上げる技法。

仏像には木芯乾漆といって、木柱・木骨を芯とし麻布をはり刻苧(*1)漆で肉付けして仕上げたものもある。

*1 こくそ

2022年3月11日金曜日

舟着石 ふなつきいし


庭石の一。

園池の汀(*1)に据えられた平たい大形の石。

本来は舟遊び際の乗り降りのため、舟を着けるという実用から設けられた。

護岸の景として、舟の浮かばない小池にも、その含みで据えられることがある。

枯山水の庭でも用いられることもある。

*1 みぎわ

2022年3月4日金曜日

根府川石  ねぶかわいし

庭石の一種。
板状石理のある硬質の両輝石安山岩で、風化したものは柔らかみのある飴色で緻密の岩質。

かなり厚い板状にへげるのが特徴である。

飛石や敷石などに用いられる。

江戸時代より愛用された。

神奈川県小田原市根深川より産出。

2022年2月25日金曜日

薬器 やくき


薄茶器の一種。

古くは薬品の容器であったものを、茶入に見立てたところからのこの称がある。

扁平で裾がすぼみ、蓋は一文字か少し盛り上がる。

碗形・飯櫃形もある。

後世、薄茶器のいずれの形にもあてはまらないものを、薬器と総称してもいる。

2022年2月18日金曜日

若狭焼き わかさやき


白焼きにした魚の両面に酒を掛けて、こんがりと焼き上げた焼物。

うろこも食べられるように焼く。

もともと若狭湾から来る一塩の魚をそうして食したのだが、のち一塩の有無は問題ではなくなった。

甘鯛・鰈(*1)・鱸(*2)・鰤(*3)などが、良い材料である。

*1 かれい
*2 すずき
*3 ぶり

2022年2月11日金曜日

拭き落とし ふきおとし


根来塗で、上塗りの朱漆をすりはがして、下地の黒漆を現したもの。

古根来では、朱塗が自然に磨滅して、露出した黒との間に独特の色調を作り出すのであるが、それが珍重された結果、江戸以降には、上塗を意識的に摺り剥がすようになった。

2022年2月4日金曜日

墨色 ぼくしょく


墨は東洋では古来、書や絵画を描く主材料として用いられ、筆・紙・硯とともに文房の四宝と重要視された。

墨は無彩色ながら五彩ありといわれ、濃淡のグレードを墨色の変化として、極めて細やかな陰影表現が可能であり、書や描画に品格を与えることができる。

2022年1月28日金曜日

雪間草 ゆきまぐさ


江戸中期成立の茶史書。

坂本周斎著。

茶種の将来に始まる茶湯の略史、茶人伝、茶道具の由来など、茶湯の歴史に関する事項を集成した書物。

なお『雪間草茶道惑解』は本書の同本と考えられる。

転写本が京都大学図書館・今日庵文庫に架蔵される。

2022年1月21日金曜日

密陀絵 みつだえ


顔料を桐油で溶き、密陀僧(*1)と呼ばれる一酸化鉛を加えた油絵具で、漆面に絵・文様を描いたもの。

正倉院御物にはこの種の遺品が多く、平安時代以後も漆芸の一部にこの技法が利用されている。

色漆絵と異なり白色の発色が冴え、色数も多い。

*1 みつだそう




【お詫びと訂正】 2017年6月30日発行分の〈瑞穂流〉の中で、『 安政2年(*1)和歌山の大火にあい、すべてを失ったといわれる。一子相伝、ほかに教授もしないので埋もれたに近い』とありましたが、現在兵庫県明石市において、野村瑞穂氏が継がれておられるとのことです。 関係者の皆様方には大変ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。お詫び申し上げ、訂正をさせていただきます。

2022年1月14日金曜日

伊東陶山 いとうとうざん


弘化3年-大正9年。

陶工。

京都に生まれ、名は幸右衛門。亀屋旭堂に陶法を学び、慶応3年祇園白川畔に開窯、朝日焼の復興や粟田焼の改良に努力した。

明治28年に陶山と改名、久邇宮家より陶翁の印を拝領、のち帝室技芸院に列した。

2022年1月7日金曜日

神号掛物 しんごうかけもの


神名を書き、祭祀の本尊として仰いだもの。

大神・明神ないし権現・菩薩などの号が神名に付せられている。

一神名を掲げるものだが、三社神号(*1)では伊勢皇大神を中尊、八幡大菩薩と春日大明神を脇侍として示している。

特に宸筆(*2)の神号掛物が珍重される。

*1 しんぴつ=天皇の自筆