2021年1月29日金曜日

浅草紙 あさくさがみ

 江戸時代、浅草で漉いた塵紙のこと。


楮皮(*1)の削りかすを利用した粗末な紙であるが、都会では反古(*2)類を集めて漉き返していた。


色の黒い粗悪なものを黒保(*3)、石灰を混ぜて白くしたものを白保(*4)とよんだ。


大量の需要があり、台東・江東・文京区に製紙圏が広がっていた。

 


*1 ちょひ =こうぞの皮

*2 ほご = 手紙、暦、古書物などで不用になった紙

*3 くろほ

*4 しらほ

 

2021年1月22日金曜日

留石  とめいし


露地の飛石の上に置いて、これより先へは通らないようにという標識とする石。


普通、径十センチ内外の丸みのある石に、蕨縄(*1)か棕櫚縄(*2)を十文字にかけ、上部の結び目を少し余すようにする。


関守の役目をすることから、関守石ともいう。

 

*1 わらびなわ


*2 しゅろなわ




2021年1月15日金曜日

赤穂焼 あこうやき


播州赤穂で造られた陶器。


鋳物師大島黄石が、嘉永初年(*1)頃、江戸今戸焼の土風炉師作根弁次郎に陶法を習って始めたものと伝える。


無釉・磨光・焼締の焼膚に煙による窯変を表した雲華焼を得意とした。ほかに楽焼や交趾写なども手がけている。

 


*1 1848

2021年1月8日金曜日

預鉢 あずけばち


懐石中で焼物や煮物など一汁三菜以外の料理を、鉢に入れて持ち出し、連客に自由に取ってもらうべく預けておくゆえに預鉢という。


また客側からとって頂く意味での「取り肴」、酒を勧めるための魚菜としての「強肴(*1)」などの別称もこれに類する。

 

*1 しいざかな

2021年1月1日金曜日

逢茶茶遇飯飯 ちゃにあえばちゃ はんにあえばはん


茶を出されれば有難く茶を喫し、飯を供されれば感謝して飯をいただくということ。


人生百般のことの上に置いて、その時その場の与えられた諸条件に、主体的にしかも無理なく、無心に即応し、少しの執着もなく生きる大禅者の境涯を、茶と飯に託して表現した句。